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旬の園芸レッスン
2015.04.01

こんなにスゴい!「腐植の実力」

花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手?」こんなにスゴイ!腐植の実力

腐植は長い年月をかけて作られる有機物。腐植を含んだ土壌は、植物が健全に生長するための、最高の環境を与えてくれます。では、腐植のどんな働きが、土壌にどんな影響を及ぼしているのでしょうか?

花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」腐植の実力


花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」

花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」土をフカフカに! だんごづくりの名人

植物にとって良い土とは、団粒構造と言って、細かい土の粒同士がくっついてだんご状になった土。でも、同じ土で植物を育て続けると、このだんご(団粒構造)は崩れて隙間はなくなり、空気も水も抜けにくくなって、根が窒息して根腐れを起こしてしまいます。この団粒構造を保ったり復活させるためには、土壌のバクテリアなど微生物の働きを活発にさせることが大切ですが、腐植は微生物のエサとなり、その活動を支えています。また、腐植は粘土を構成する鉱物に含まれるアルミニウムなどとガッチリくっついて小さなだんご(ミクロ団粒)を作り、さらに腐植とカルシウムが小さなだんご同士をくっつけて、大きなだんご(マクロ団粒)を作ります。つまり、このような腐植の性質が、土壌の団粒化を促進し、土をフカフカにしているのです。


花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」懐の深さも魅力花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」

アジサイの花色が土壌のpH(酸度)によって、青色になったり赤味を帯びたりするのは有名です。植物によって生育に最適なpH値は異なりますが、一般的には弱酸性(pH 5.5〜6.5)が良いとされていて、市販の培養土は弱酸性に調整されています。でも、植物を育てていると、土壌は次第に酸性化が進みます。また、肥料やりのたびに、肥料に含まれる酸やアルカリ物質によってpHが変動してしまいます。ベテランのガーデナーさんの中には、pH値を自分で調べて、酸性の土には石灰、アルカリ性の土にはピートモスを混ぜて調整する人もいらっしゃると思いますが、腐植はこのpHの変動を抑える役目も果たしています。化学的に言えば、pHとは水素イオン(H+)の濃度のこと。土中の水素イオンの濃度が変わってしまうと、植物の根は大きなストレスを受け、生育に悪影響を及ぼします。腐植はイオンの吸着力が大きいため、pH値を左右する水素イオンをしっかりとキャッチし、水素イオンの変動という、植物への衝撃をやわらげる働きをしています。


花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」肥料成分をしっかり つかんで、キープ!花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」

良い土の条件として、保水性や排水性とともに、保肥力が大きいことも条件としてあげられます。せっかく肥料を与えても、水やりや雨が降るごとに肥料成分が流れてしまっては、与える意味がありません。保肥力とは、土が肥料を保持する力のことで、保肥力が大きい土では、肥料が植物に穏やかに効率良く効き、植物は元気に育ちます。そして、腐植はこの保肥力にも大きく影響していて、腐植を多く含む土壌ほど保肥力が大きくなります。腐植は、石灰・苦土・加里などの塩基イオンを多く吸着する力があります。塩基イオンは土壌にバランス良く含まれることで、植物は土壌の栄養をスムーズに吸収できるようになります。つまり、腐植を多く含んだ土壌では、塩基イオンを多く保持できるので、肥料もち(保肥力)も良くなるうえ、多少肥料を与え過ぎても肥料やけを起こしにくくなるのです。


花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」イヤ〜な臭いも がっちりキャッチ!花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」

腐植はイオンを吸着する力に優れているだけでなく、臭いの元となる分子をつかむ力にも優れています。と言っても、臭い分子をつかむだけでは、土壌中の臭いを除去することはできません。土壌には、腐植をエサに活動するバクテリアなどの微生物がいますが、腐植は臭い分子をつかんだまま、丸ごと微生物のエサになることで、臭いを消してくれるのです。まさに、自らの身を挺して臭いを消してくれるというワケ!また、臭い分子だけでなく、土壌中の有害分子もしっかりキャッチ。通常、有機肥料など有機質を含んだ土は臭いが気になることが多いですが、腐植を加えることで、臭いを軽減することができます。


花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」植物のわがままを 受け止めて、 連作障害を少なく。

同じ土で同じ作物を繰り返し作り続けると、生育不良を起こし上手く育た なくなることがあります。これが連作障害で、ナス科の野菜などに出やすいことはよく知られています。連作障害の主な原因は、病原菌やウイルスなどによる土 壌病害ですが、他にも、特殊な養分の欠乏や、植物の根から出る物質が原因で起こることがあります。少し専門的になりますが…ある植物の根から出る物質が、 他の植物の生育に影響することをアレロパシー(他感作用)と言います。例えば、花木のタイサンボクの根元に草が生えなくなるのは、このアレロパシーが要因 だと考えられています。また、繁殖力の強い雑草、セイタカアワダチソウは、根から化学物質を出し、他の植物の発芽を妨げますが、この物質はセイタカアワダ チソウ自身の発芽をも妨げてしまいます。このように、植物は自分の生育に都合の良いものだけでなく、都合の悪い物質まで、根から出してしまうことがあり、 これが連作障害を引き起こすことがあります。腐植は、元の植物が残していった悪い物質をしっかり捕まえて、新しい植物に影響が及ばないようにする効果があ ります。


花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」花ごころ 旬の園芸レッスン69「花ちゃん肥料は腐植が決め手」栄養分を植物が 吸収しやすい カタチにしてくれる

植物の体は大部分が水でできています。さらに、水分をすっかり取り除いて調べてみると、炭素、酸素、水素の3元素が90%以上を占め、残りの10%以下は13種類の成分でできています。そのうち「肥料の三要素」として知られる窒素、リン酸、カリは、人間の主食ともいえるもので、大量に必要で、不足することが多い成分です。他は、中量要素と呼ばれるカルシウムやマグネシウムなど、そして微量要素の鉄、亜鉛などのミネラルで、これらのミネラルを根から吸収することで、植物は健全に育ちます。腐植には、ミネラルを水に溶けやすい状態にして、根が吸収しやすいようにする働きもあります。土中に十分なミネラルがあったとしても、根から吸収されなければ、健康的な野菜や草花は育ちません。腐植は植物がミネラルをスムーズに吸収できるように、せっせと働いてくれているのです。


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