ラベンダーを育てる
ちょっとしたコツがわかれば、意外と簡単!
病害虫の心配もほとんどないラベンダーは、環境に合った品種を選べば、栽培は難しくありません。
上手くいけば10年以上たっぷり楽しめます!
年間管理票
基本の管理
日ごろのお世話は、原産地を考えて
【水やり】
ラベンダーの主な原産地は、湿度が低く夏に雨が降らない地中海沿岸地方。
だから、系統に関わらず乾燥気味に育てることが大切です。水のやり過ぎは蒸れや根腐れの原因になるので注意!地植えの場合は、植え付け後、根付いたら水やりをストップして自然に任せます。
鉢植えの場合は、鉢土の表面が白く乾いたら数日経ってから、鉢底から流れ出るまでたっぷりと与えます。但し、夏はもう少し回数を増やしましょう。
ラベンダーは葉に細かい毛が生えています。だから、葉の上から水をかけると、葉にいつまでも水が残り蒸れの原因になってしまうので、必ず株元に水やりしてください。水やりの時間帯は、秋と春は午前中、夏は日中に行うと蒸れてしまうので必ず朝か夕方に行いましょう。
【肥料やり】
花をたくさん咲かせるだけに、ラベンダーは肥料喰いかと思われがちですが、他のハーブ同様、それほど肥料は必要ありません。植え付ける時に、ゆっくりと 効く緩効性の肥料を元肥として施したら、あとは新芽が動き出す春(3月頃)と暑さが落ち着いた秋(9月下旬頃)に月1回、元肥と同じ緩効性肥料を施してお けば十分です。
植え付け
地植えと鉢植え、注意点は?
ラベンダーは系統によってはタネからでも育てられますが、苗からスタートするのが一般的です。苗の植え付けに適しているのは春と秋。左の点に注意して良い苗を選ぶようにしましょう。
・節と節の間が詰まっている(ヒョロヒョロと徒長していない)
・葉色が良くイキイキとしている(葉が黄ばんでいない)
・鉢土の表面にコケが生えていない(根腐れしていない)
・鉢穴から根がはみ出していない(根詰まりしていない)
良い苗を入手したら、植え場所を決めましょう。ラベンダーが好むのは、系統に関係なく、日当りと風通しが良く、水はけが良い場所。西日が当たる場所もで きるだけ避けましょう。ラベンダーは移植を嫌う性質なので、地植えにする場合は、植え場所を慎重に決めてください。また、鉢植えの場合も、水はけの良い土 を使って、地植え同様の環境に置くのがベスト。ラベンダーは寄せ植えには不向き。なぜなら、株元に他の植物を植えると風通しが悪くなってしまうからです。 1鉢に1株が基本です。水やりの手間はありますが、鉢植えのメリットは移動できること。耐暑性が弱いアングスティフォリア系などを育てる時には、夏場は涼 しい場所に移動したり、逆に耐寒性が弱いストエカス系などを育てる時には、冬場は室内に取り込んだり…長雨が続く時には軒下やガレージに移動することもで きます。
(1)ポット苗(直径9cmぐらい)なら7号鉢(直径21cm)を用意。 鉢底ネットを敷き、鉢底石を2~3cm入れる。
(2)用土を入れ、ポットから苗を抜いて根鉢を崩さないようにして、鉢の中央に据え、鉢土の表面が鉢の縁より2cmぐらい下になるぐらいまで用土を足していく。移植ゴテなどで軽く用土をついて、土の隙間がなくなるように。
(3)最後に株元にたっぷりと水を与える。
植え付け後、3~4日間は風と直射日光の当たらない明るい日陰に置き、その後、適切な場所へ移動する。
収穫
早めの収穫が株にも香りにもGOOD
前ページの年間管理表からもわかるように、ラベンダーの開花期は系統によって多少異なります。そして、この開花期がすなわち、待ちに待った収穫期です!ラベンダーの香りを最大限に引き出すには、収穫のタイミングがとても大事。香りの成分である精油(エッセンシャルオイル)の濃度が最も高くなるのは開花直前です。開花が進むにつれ、揮発性の精油はどんどん空気中に流れてしまいます。花穂の中の4~5輪が開花したら、わき芽のすぐ上(だいたい上から3組目の葉の上)で、切り取りましょう。ラベンダー 収穫の位置また、収穫の時間帯は、気温が上がる昼以降は避け、晴れた日の朝がベストです。
早めに収穫するメリットは香りが良いことだけではありません。株の体力消耗を防ぐこともでき、さらに次の花が咲きやすくなります。また、開花期は梅雨前後に重なることが多いので、収穫ですっきり散髪されれば、風通しも良くなって株もリフレッシュできます!
収穫したラベンダーは、コップに生けて飾ったり、ラベンダースティックにしたり…束にして吊るしてドライにしておけば、ティーはもちろん、石けんやポプリなどのクラフトに利用できます。
切り戻しと枝透かし
高温多湿を乗り切るために
ラベンダーの主な原産地である地中海沿岸地方の気候は、冬に降る一定 の雨が大地を潤し、ラベンダーが開花する夏は強い日差しがあり乾燥しています。開花 期が梅雨前後にぶつかる日本の気候とは正反対。ただでさえ開花のために体力を消耗しきった株にとっては、高温多湿の日本の夏はとてもつらい季節です。そこ で、少しでも株のストレスを緩和するために、梅雨入り前に行いたい作業があります。それが、切り戻しと枝透かしです。
ラベンダーの場合、収穫の際に、花が咲いた茎を切り取るので、ある程度株をスッキリさせることができます。でも、花が咲かなかった茎はそのままになって いるので、株が半球状になるようにわき芽の上で切り取っておきます(切り戻し)。また、込み合っている枝は2本に1本ぐらいの割合で切り取り、下の方の黒 く変色した葉は手でこすって落とします(枝透かし)。こうすることで、風通しが良くなり、株の内部まで日が当たるようになって、蒸れの防止にも役立ちま す。切り取った枝や枯れ葉は、そのままにしておくと病気やカビの原因になるので、必ず片付けるようにしましょう。また、鉢植えの場合、梅雨入り前に、明る い軒下など雨が当たらない場所に移動しておくこともお忘れなく。
(1)株全体のバランスを見ながら、花が咲かなかった茎も、わき芽の上でカット。
(2)込み合った枝や、根元から出ている細い枝は、つけ根から刈り取る。
(3)根元の方の黒く変色した葉は、手でポロポロとこすり取る。
(4)不要な枝や枯れ葉がキレイに整理されてスッキリ。梅雨対策完了!