みんなに聞いた『肥料&リンカリ肥料の疑問』
肥料成分って、どんなもの?
「あまり肥料のことをよく分かっていないので、Nが多いとPやKが植物に良い影響を与えないとかあるんですか?(大阪府/ゆずじゃむ様)
「マグネシウムや鉄分などの効能がわからない」(埼玉県/ケンケン様)
「NPK以外で何が入っているかを気にしています」(埼玉県/佐伯 健二様)
まず基本中の基本ですが…肥料はなぜ必要なんでしょう? 植物の体は大部分が水でできています。そして、水以外の90%以上は、酸素・炭素・水素が占め、残りの10%以下は13種類の成分でできています。自然界の植物の場合、ほとんどすべての成分が不足することはありませんが、鉢植えや庭など限られたスペースでは、酸素・炭素・水素以外の13種類の成分は、人の手で補ってあげないと不足してしまいます。この13種類の成分のうち、植物の主食とも言えるのが、チッ素(N)リン酸(P)カリ(K)で、「肥料の三要素」と呼ばれます。他は、マグネシウムをはじめ、鉄や銅、など、人のビタミンに相当する要素が植物の健全な生長を支えています。そして、これらの成分を植物がバランス良く吸収できるようにしてあげるのが、肥料やりの目的です。
NPK比について
「植物によって、適正肥料成分配合率があるということを知って、驚きました。だから、本やインターネットで調べてから、与えています」(東京都/モネミルク様)
「はっきり申しまして、違いがよく分からないので、均等のものを全ての植物に使っています」(兵庫県/豆ごはんママ様)
植物の主食とも言える「肥料の三要素」=チッ素(N)リン酸(P)カリ(K)—–これらの成分は、他の成分と協力して効果を発揮します。決して単独で働くのではありませんが、それぞれ大きな役割を果たしています。葉肥(はごえ)と言われるチッ素は、植物の土台ともいえる茎葉や根の生長を助けます。花肥(はなごえ)または実肥(みごえ)と言われるリン酸は、開花や結実を促し、根肥(ねごえ)と言われるカリは、主に根の生育や、気温や病害虫に対する抵抗力を高める働きがあります。市販の肥料のラベルには、「5-10-5」など3つの数字が記載されていますが、これは「チッ素-リン酸-カリ」の含有量を重量%で表したもので「NPK比」と言われます。NPK比には主に5タイプあって(イラスト参照)、タイプごとに適正植物や施す時期が異なるので、使い分けるとより効果的な肥料やりが行えます。
専用肥料と汎用肥料、どっちがイイ?
「いろいろな種類の肥料がありますが、自分の育てている植物にはどの肥料が合うのかよくわからない」(静岡県/後藤かずえ様)
「狭い庭でいろいろなものを栽培しているので、いちいち使い分けできません。平均的なオールマイティな肥料を基本的には使用しています」(千葉県/雀のお宿様)
「最近は専用肥料が多く出ているが、結局どの植物に使っても効果は同じなのではと思ってしまう。バラの肥料があるが、他の植物にも使っているけれど、これは良くないのだろうか?」(愛知県/たこ様)
肥料の種類が多過ぎてよくわからない、という声もたくさんいただきました。数種類の肥料を配合してある肥料には、幅広い植物に利用できる「汎用肥料」と、特定の植物だけのために配合してある「専用肥料」があります。「◯◯の肥料」というように特定の植物名が書かれた専用肥料は、その植物特有の性質や使い勝手の良さなどを考えて、成分や形状も工夫されているものがほとんどで、ビギナーでも安心して使っていただけます。ちなみに今回のテーマでもある「リンカリ肥料」は、特定の植物専用ではないので、どちらかと言うと汎用肥料に分類しています。また、“たこ様”のように専用肥料を他の植物に使えるかどうかを迷う人も多いようです。結論から言えば、バラの専用肥料はバラ用に調整されているので、できればバラだけに使うのが理想的です。1種類でいろいろな植物に与えたいのなら、汎用肥料をオススメします。
リンカリ肥料って何?
「チッ素が入っていないもののメリットを知りたい」(千葉県/ひよたいよ様)
「冬場は特に、根の生長が遅くなるのでカリ肥料を単体で使う事がありました。平均的に入っているものと比べると、その時はさすがにダイコンが大きくできたと思います。でも、最近はあまり単体肥料を見かけないのでちょっと困っています」(大阪府/eriたん様)
チッ素、リン酸、カリの三要素のうち、1要素だけを含む肥料を単体肥料と呼びますが、リンカリ肥料は、チッ素が含まれていない肥料のことで、“eriたん様”のおっしゃるような単体肥料とは少し異なります。では、チッ素が含まれていない肥料って、どんな特徴があるのでしょうか?簡単に言えば、花実を付けることに特化した肥料ということ。そして、チッ素を含まない肥料のことを一般的に「リンカリ肥料」と呼んでいます。
リンカリ肥料を使うのはこんな時
「クレマチスを繰り返し咲かせたい時期に、リンカリ肥料を使います。チッ素が効きすぎると草丈ばかりが長くなって、花が遠のくと聞いたので。大きな花のクレマチスは花を咲かせるのにたくさんリンが必要なので、花の時期はリンカリを選ぶ事が多いです」(愛知県/あるちゃん様)
「リンカリ肥料で、パッションフルーツの花芽、実の育ちに効果を実感しました」(島根県/須山暁美様)
「花芽の出る頃に与える」(愛知県/syugetu様)
リンカリ肥料は、チッ素成分を含まないので、葉ばかりが繁ったり、枝が徒長するのを抑えることができ、その結果、花付き・実付きを良くすることができます。だから、花色が薄い、花が小さい、実が大きくならない、実が少ないなど、花実の生長が芳しくない時に与えると効果を発揮します。リンカリ肥料は花実を付けさせるために重要な成分を凝縮しているので、“あるちゃん様”のように、繰り返し花を咲かせたい時期に追肥として与えると効果的です。
リンカリ肥料だけ与えればOK?
「チッ素分の補給はどうするのですか」(愛知県/なかちゃん様)
「NPKを含む肥料(堆肥、化成肥料)を基本に、リンカリ肥料は根菜や果菜に補助的に使うのがいいと思います」(埼玉県/TAD様)
リンカリ肥料は、花実を付けさせたい時に効果を発揮しますが、花実を付ける植物なら、リンカリ肥料だけを与えればいいというわけではありません。元肥には、チッ素成分も含む肥料を使ってリンカリ肥料は追肥として使用したり、リンカリ肥料に加えチッ素成分を含む肥料も一緒に使用することが大切。なぜなら、植物は花実だけ付けばいいというわけではなく、茎葉を生長させることだって、植物の生長には大切なことだからです。基本的に植物は、花を咲かせタネを作り、子孫を残すために生長します。だから、植物を花実を付けることだけに集中させると、枝葉の生長をやめてしまいます。その結果、蕾を付けることに集中し、花付き・実付きが良くなるわけですが、まだ十分に根も張っていない若い株にリンカリ肥料を与え過ぎると、かえって植物に負担になる場合があるので、注意が必要です。“TAD様”のように、植物の種類や生長に合わせて補助的に使う方法もオススメです。
次ページ> ガーデニング川柳/おたより/お庭自慢/編集後記 |1|2|3|