ミツバチ目線で 「花を育てる。」
ガーデニングとミツバチ——-あまり関係ないように感じるけれど、実は深いつながりがあります。それは何なのかを探るべく、ハチミツづくり・ハチ育を通して、ミツバチ目線の生き方提案を行う「一般社団法人 ハニーファーム」を取材させていただきました。
よく晴れた夏の早朝。花ごころスタッフが訪れたのは、名古屋市千種区にある東山植物園内のとある場所。ここでは、パティシエや料理人から<世界一美味しい>と評されるハチミツ『東山ハニー』が作られています。この東山植物園を含め、愛知県内三カ所でミツバチの飼育を行っているのが、一般社団法人ハニーファーム。そして、この日はミツバチの巣箱のメンテナンスが行われる日で、ボランティアのみなさんを含め総勢8名が参加しました。まず印象に残ったのは、巣箱のフタを開ける前に、ミツバチたちを驚かせないようにコンコンとノックし「開けるよ〜」とやさしく声をかける姿。不思議とミツバチたちはとても落ち着いた様子で、人間とミツバチの信頼関係がしっかり築かれていることを実感!ハニーファーム代表の船橋康貴さんは、「ミツバチのお世話はとても神経を集中する作業ですが、慣れてくると、鳥のさえずりや風のざわめきが聞こえてきて、キラキラ輝く朝日の中でミツバチが羽ばたく様子は本当に美しい…そんなシーンの向こうに自然を感じ、そして宇宙さえも感じるようになりますよ」とおっしゃいました。
そもそもミツバチとはどんな生物なのでしょう。ミツバチの社会は一匹の女王蜂と数万匹の働き蜂(すべてメス)、そして少数のオス蜂で構成された一つのコロニー(生命共同体)。女王蜂は繁殖期には1日に2〜3千個の卵を産み、働き蜂は半径2キロの範囲を飛び回り、1日3000個もの花から蜜を集めてきます。ミツバチの寿命は約1カ月。そして一匹のミツバチが生涯で集めるハチミツの量は、ティースプーン1杯程度というから、1つの花からもらってくる蜜はごくごく微量ということ。ミツバチは花から花へと飛び回り、せっせと巣箱へ持ち帰る食料を調達すると同時に、カラダ中に花粉をくっつけて、植物の再生に欠かせない「受粉」という大きな仕事を請け負っています。その報酬として花からごくわずかな蜜と花粉をいただいて食料にしているのですから、健気というより、神聖という言葉がふさわしいですよね。
ところがこのミツバチ、世界的に減少の一途をたどっています。この現状に危機感を覚え、養蜂に留まらず、環境問題、本物の豊かさという視点からも、〈ミツバチ目線〉の生き方提案を行っているのがハニーファームのみなさんです。今回、様々なお話を伺う中で、私たちガーデナーもまた、ミツバチと深い関わりがあることがわかってきました。
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