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ホーム花ごころメディア旬の園芸レッスン教えて!多肉植物が喜ぶ、 ベストな管理。
旬の園芸レッスン
2021.10.26

教えて!多肉植物が喜ぶ、 ベストな管理

多肉植物は、ちゃんと手をかけてあげれば、10年でも20年でも楽しめるそうです。ここからは、サキュレントマスター・上田泰さん流「性質にあった、多肉の正しい管理方法」をご紹介します。(※エケベリアなど普及種が対象)


<置き場所>太陽大好き!お外が大好き!!

 見た目のユニークさや可愛らしさから、多肉植物は雑誌やSNS上でインテリア小物のように部屋に飾られているシーンをよく見かけます。実際、観葉植物と同じで室内で管理するものだと思っている人も多いのでは? でも、これは大間違い!多肉植物は太陽が大好き!それに、風通しが悪いと根腐れや病気の原因になってしまうので、基本的には、年間を通して屋外で育てます。南向きの明るい窓辺なら、室内でも構わないのでは?と思うかもしれません。でも、窓ガラスは紫外線をカットしてしまうので、光線量は十分ではありません。ましてや太陽の位置が下がる冬は、日が当たる時間もグンと少なくなってしまいます。日光が不足すると、ヒョロヒョロと徒長してしまい、あのキュッと引き締まった独特のシルエットは崩れてしまいます。(夏と冬の置き場所の注意点については次ページを参照)
 また、室内に置く問題点は、エアコンにもあります。本来、多肉植物の自生地は、昼間は強い日差しが照りつけるけれど、夜間は寒いぐらい気温が下がるようなメリハリの効いた環境です。でも、エアコンが効いた室内では、温度変化がなさ過ぎます。多肉植物には、紅葉を楽しめる品種も多くありますが、昼夜の気温差がないと、いつまでも緑色のまま、紅葉もキレイにはなりません。


<水やり>タイミングは触れて確認

 置き場所と同じくらい勘違いが多いのが、水やりかも。極端な話、サボテンやエアプランツみたいに水やり不要、だと思っている人も!これも大間違いで、サボテンもエアプランツも、そして多肉植物も、乾燥に耐える能力が優れているのは事実ですが、決して水が不要なのではありません。では、水やりのタイミングはどうすればいいのでしょうか?多肉植物の水やりは、「土の状態や回数ではなく、葉の状態を見てタイミングを計る」というのが上田さん流。
 多肉植物の成長点は、一番上の葉にあるため、この葉の水分を使ってしまうと自分が死んでしまいます。そのため水分が不足すると、下の葉から順に水分を吸い上げます。多肉植物の葉は、十分な水分を蓄えていると、パンッと張っていますが、水分不足になった株の下葉は、手で触れてみるとハリがなく、少ししな〜っとしているのがわかります。この「若干しな〜っとなった頃」が水やりのベストタイミング。この状態のまま放っておくと下葉からどんどん枯れてしまうけれど、このタイミングならすぐに復活してくれます。置き場所など環境が変われば、水やり回数も変わってくるはずですが、この上田さん流の水やりなら、植物自身がサインを出しているのだから、間違いありませんよね。
 他の植物同様、水を与える時は鉢底から流れ出るくらいたっぷりと。そして、葉にかからないように必ず株元に与えます。特に、春秋の成長期は、忘れずしっかりと水やりを行いましょう。(夏と冬の水やりの注意点については次ページ参照)



<植え替え>目的は健康促進?それとも体力回復?

 多肉植物の植え替え時期は、成長期のはじまり=春と秋が適しています。上田さんは、「夏の暑さで弱った根を新しく作り替えるという意味では、秋がベスト。但し、根が傷んでいていかにも元気のない株は、季節を問わず、できるだけ早く植え替えるのがオススメ」とおっしゃいます。
 植え替えの目的は主に2つあります。1つは、根の環境を改善し健康促進を図るためで、2年に1回程度行います。そしてもう1つは、傷んだ根を取り除いて新しい根を出させ、株の体力回復を図るため。いずれの場合も、株を大きくしない場合は、同じ鉢(同サイズの鉢)でOKですが、必ず新しい土を使います。
 植え替えで最も大切なのは「根鉢を崩して整理する」作業。但し、土が乾燥した状態で根鉢を崩すと、土だけが落ち、傷んだ根はそのまま残ってしまうことも。必ず植え替え直前に水を与え、土ごと根を削ぎ落すような要領で根鉢を小さくしましょう。根が回って(ルーピング)ぎゅうぎゅう詰めになって傷んでしまった根は、そのまま植えても腐るだけなので、しっかりと取り除きます。一般的な植物と違って、多肉植物は体に水分を蓄えています。だから、たとえ根が全くなくなっても、次の根が生えてくるまで十分に生きていけます。怖がらずに、根鉢は思い切って崩しましょう。



多肉植物に向く土は?

 植物全般に通じることですが、多肉植物を育てる上で一番大切なのは、いかに「根」を健康に保つかということ。その意味でも、根に直接触れる土選びはとても大切です。エケベリアなど多肉植物の根は、サボテンに比べて細かく、どちらかと言うと一般的な草花に近い感じ。多肉植物と言うと、乾燥した地域に自生しているのだから水はけの良い軽石ベースの土が向くのでは?と思いがちです。でも実際、多肉植物は水を欲する時には、きちんと水を吸収できないと枯れてしまうこともあります。かと言って、汎用性の培養土では、水もちが良すぎて、夏場蒸れて根腐れの原因に。相反するように思えますが、多肉植物に適した土とは、排水性と保水性のバランスが取れていることが大切。多肉植物専用の土が安心です。

<病害虫>日頃の観察と定期的な消毒を

 他の植物に比べると、多肉植物は病気や害虫が少ないといえます。でも、肉厚の葉の一部に病斑や虫喰いがあるだけでも、全体の見た目が悪くなってショックですよね。普通の草花なら被害に遭った葉を取り除くだけでいいけれど、多肉植物は一枚取り除くと歯抜け状態に!対策しておいて損はありません。
 それほど多くないとはいえ、注意したいのは「灰色カビ病」や「炭疽病」「カイガラムシ」など。春先から梅雨にかけて発生しやすい「灰色カビ病」は、水が染みたような病斑ができ、やがて腐って灰色のカビで覆われる病気で、風通しが悪く湿度が高くなると発生しやすくなります。また、春から秋、特に雨が多い時期や、風通しの悪い場合に発生しやすい炭疽病も、灰褐色や黒褐色の病斑ができ、観賞価値をぐんと下げてしまいます。
 病害虫を予防するには、日当たりや風通し、湿度を適切に保てる環境で育てることが第一。そして、毎日の観察で害虫や病気部分を取り除くなど、早めの対処が大切です。病害虫は3月後半ぐらいから動き始めます。この頃から定期的な消毒を行えばより効果的です。
 それでも病害虫の被害に遭ったらどうする? 病気が発生し菌が入り腐った葉は、できるだけ早く、被害が小さいうちに取り除くのが大事。でも、もしも葉だけでなく茎にまで菌が入ってしまったら? 菌に侵された部分をカットして取り除き、菌に侵されていない部分を挿し木してみましょう。無事な葉や茎が少しでも残っていれば、挿し木で簡単に殖やせるのが多肉植物の魅力です。病害虫の被害=株を殖やすチャンスぐらいに捉えてポジティブに!



肥料はどうする?

 他の草花と比べて、成長がゆっくりで、水やり回数も少ない多肉植物は、それほど肥料に影響されません。多肉植物が肥料を必要とするのは、植え替えの後などほんの短期間。つまり、施肥よりも大切なのは、植え替えで土をリフレッシュすること。肥料分のない用土を使う場合は、発根を促すために即効性の液肥を与えるぐらいで十分。また、元肥入りの専用用土なら、施肥は不要です。但し、大きく育てたい場合は、肥料と水をしっかり与えましょう。


次ページは>「多肉植物の、夏越し冬越し。」

 

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