基本をおさえて、 栽培スタート! 1年目の ブルーベリー・スタディ
ブルーベリーは病害虫にも強くて育てやすく、樹形もコンパクトなので鉢植えにも向きます。
でも、用土や品種選びなど、他の植物とは違う面もあるので、栽培をスタートするには基本をおさえておく必要があります。ここからは、木を充実させるための1年目、そして収穫をスタートする2年目以降、生長に合わせ、鉢植えで楽しむブルーベリー栽培をご紹介。
苗木を選ぶ際に知っておきたいのは、ブルーベリーは自家受粉しにくい性質なので、必ず「同じ系統の異なる品種を2品種以上」揃えること。つまり、鉢栽培の場合、最低でも2鉢を同時に育てます。主に日本で入手できるのは、比較的夏季が冷涼な地域(関東地方以北)に向く「ノーザンハイブッシュ系」、冬季が温暖な地域(関東地方以西)に向く「サザンハイブッシュ系」と「ラビットアイ系」の3系統で、それぞれの系統に多彩な品種があります(表①)。店頭では必ずラベルをチェックしましょう。
また、苗木は秋から出回るさし木苗を入手します。初心者には、さし木してから1年以内の1年生苗よりも、ある程度育った2年生苗からスタートするのがオススメ。ラベルに◯年生と記載されていない場合は、見た目で判断することもできます(イラスト①参照)。
もしも、今育てているブルーベリーが、どの系統なのかわからいという人がいたら、葉っぱをよく観察してみてください。色や形の違いで見当が付きますよ。
植え付けは、落葉後の11月〜12月頃に行う秋植えと、春に芽が動き出す前に行う春植えがあります。植え付けで最も注意したいのは、土の酸度。多くの植物は弱酸性を好みますが、ブルーベリーはより強い酸性土壌でないと生長できません。酸性に調整済みのブルーベリー専用用土の使用がオススメです。
4号ポット(直径12㎝)の苗木なら、7号鉢(直径21㎝)に植え付けます。ポットから苗木を取り出し、根鉢を崩して、深植えにならないようにイラストのように植え付けます。
根が細かく、乾燥を嫌う一方で通気性が悪いと弱ってしまうブルーベリーの根。そんな性質にぴったりなのが、プラスチック製のスリット鉢。鉢の側面にスリットが入ることで、通気性や水はけが悪いというプラ鉢のデメリットは解消されます。スリット鉢で育てると、根が回って窮屈にならず、自然界の根張りようにのびのびと育つように思います。
晩秋の紅葉が終わり、落葉して休眠期に入ったら冬剪定の適期です。ブルーベリーは、2〜3年目までは木自体を充実させるために、あえて花を咲かせないようにするのが一般的。つまり、2年生苗を購入し、仮に今年の11月頃に植え付けた場合、翌年の12月以降に行う冬剪定では、新しく伸びた枝を半分ぐらいに切り戻します。
最初の冬剪定では花芽は残さないのが基本なんですが、私はあえて1つぐらいは花芽を残してもいいですよと伝えています。花芽1つだけでも10粒ぐらい果実がなるので、味見ぐらいはできます。それに、どんな花を咲かせて、どんな風に果実がなるのかがわかると、よし!がんばって育てようと、やる気も出ますよね。
ブルーベリーは水はけの良い土を好む一方、乾燥を嫌います。水切れを何度も繰り返すと、細かくデリケートな根を傷めてしまうので、一年を通して鉢土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水やりします。夏場は朝夕2回必要な場合も。また、肥料は用土と同様、酸度が調整されているブルーベリー専用肥料がオススメです。冬に元肥として、開花のために3月頃、実のために6月頃、お礼肥として9月頃、それぞれ規定量を施します。
追肥を忘れてしまったり、いつ与えていいのかわからないという人には、◯月と◯月と…ではなく、3月から9月の生育期の間は、日にちを決めて月に1回与えればいいですよとアドバイスしています。例えば、「毎月のお給料日には肥料をあげる」と決めておけば、忘れないですよね。但し、真夏は糖度が上がらなくなってしまうので避けましょう。
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