明日から四月。
この時期は満開の桜の木の下で、ぴっかぴかの一年生が親と一緒に記念撮影・・・なんて光景を良く見る事になります。
あとは花見。
花見と言えばサクラ、サクラと言えば「ソメイヨシノ」
と言う事で、ちょいとその「ソメイヨシノ」のお話を。
ソメイヨシノは「大島桜」と「江戸彼岸桜」の交配品種で、今から150年ほど前の江戸末期から明治初期にかけて作出された、意外と歴史の浅い品種なのです。
それ以前は「お花見」と言えば、ヤマザクラを愛でるのが主だったようです。
さてさて、今では花見と言えばこのソメイヨシノ。
実は自己不結実性(同一株からの受粉では種が出来ない事)が強く種が出来にくい、稀に出来たとしてもほぼ育たない、育ったとしてもソメイヨシノにはならない
と言う性質を持っています。
現在は日本全国に植えられ、日本を代表するサクラのメイヨシノですが、実は全て接ぎ木で殖やされており、全国全てのソメイヨシノはほぼ同一の遺伝子を持つ「クローン」になるのです。
親でも子でも無く、兄妹でも親戚でも無く、全てが最初に作出された株の中からコピーの様に殖やされた樹木で、これが実生では殖え難いと言われる理由なのです。
これがヒトだったら・・・と考えると怖い話ですが、この全て同一遺伝子を持つソメイヨシノが気象庁のサクラの開花指標木に使われている所以でもあるのです。
あと、サクラの類の樹木は実生から育てると、開花迄に10年掛かるか20年掛かるか解らないと言われています。
これを成熟した花枝を接ぎ木する事で、すぐに花の咲く苗木が大量に生産でき、尚かつ他の桜に比べ成長が早く大木になりやすいソメイヨシノは、花見の名所づくりをするのにはうってつけの花木と言う事で、全国に一気に拡がり植樹されました。
しかし最近、ソメイヨシノの寿命60年とか80年と言う問題が出て来ております。
戦後に植えたソメイヨシノが徐々に樹勢が落ちて来ており、サクラの名所の危機とも言われております。
恐らくクローン株故の宿命もあるのかも知れませんが、ソメイヨシノが植えられている環境に大きな問題があるとも言われています。
道路脇で舗装に囲われた場所や、花見や人の通行による根鉢付近の地面の踏み固め。ほぼ放置され無造作、無計画な管理作業。
これが寿命を縮めている大きな原因と言われています。
日本最古のソメイヨシノは樹齢約130年。
このソメイヨシノは計画的に適切な管理をされ、今でも元気に花を咲かせているのです。
ほぼ放置でも維持できるのが一番ですが、園芸品種の宿命ですかね~。
さてさて、これから花見のシーズン。
桜の木の下でどんちゃん騒ぎ・・・
人は花に癒されるが、ソメイヨシノにしてみれば
実は一番辛い時期なのかもしれません。
GD部スタッフY
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