今回ご紹介するのは、「シャラノキ」です。「シャラノキ」というと『平家物語』を思い出す人も多いと思います。「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色…」という一説に出てくる「沙羅双樹」のことなんですが、インド原産で日本では育ちにくいんです。そこで、花がそっくりな「ナツツバキ(夏椿)」が沙羅双樹の代わりに寺院などに植えられ、日本ではナツツバキを「シャラノキ」と呼ぶようになりました。
今回ご紹介する「シャラノキ」は、6月頃から、5~6㎝ほどの椿に似た白く美しい花を咲かせ、秋には紅葉も楽しめるということで、人気が高まっています。また、「シャラノキ」を小さくした「ヒメシャラ」もあります。1.5~2㎝くらいの小さな花が、朝開花して、夕方にはポロッと落ちてしまう一日花ですが、散った花が一面に敷き詰められる様子も風情があるとして好まれています。他に、花びらの先端にほんのりピンク色や緑色が入る品種や、葉に斑が入る品種も人気です。
お店で苗を選ぶ時は、根がしっかり張っていてグラグラしないもの。幹や葉がつややかなものを選びましょう。もともと「ナツツバキ」は日本原産で、涼しく湿度の高い山地に自生するので、夏の暑さと乾燥は大きなダメージになります。植える時は、夏場の強い日差しや強風を避けられる場所を選ぶようにしましょう。鉢植えも出来ます。直径30㎝の10 号鉢なら、2メートルくらいまで伸びても大丈夫です。必ず底にゴロ石の「鉢底石」を入れて、栄養たっぷりの「花ちゃん培養土」で植え付けます。開花期なので、根は崩さないようにそのまま植え付けます。
水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりです。夏場は朝夕の涼しい時間帯に、たっぷり水やりを行うようにします。
花がたくさん咲いた後は、木の疲れを回復させるために、お礼肥として、ゆっくり効く緩効性の肥料「IBのチカラ」を与えると効果的です。花が咲き終わると、果実をたくさんつけます。実がつき過ぎると、種に栄養を取られてしまい、木が衰弱してしまいます。種を採る目的でなければ、果実はできるだけ摘み取るようにしましょう。
来週は、暑さに負けない熱帯花木「デュランタ」をご紹介します。お楽しみに。