果実が成熟する時期は品種により異なりますが、ここでは梅雨の影響を受けにくく、鉢植えでもコンパクトに仕立てやすい秋果専用種の栽培プロセスをご紹介。
|植え付け|11月〜12月(寒冷地3月)
基礎知識の[※1]を参考に植え付けたら、3〜4節残して枝を高さ30〜40㎝でカットします。雨水による雑菌の侵入を防ぐため、切り口に木工用ボンドを塗っておきます。
|1年目の芽かき|5月中旬
今回目指すのは「開心自然形」と呼ばれる仕立て方。若木のうちに残す枝を3本に決めて育てていく方法です。枝が伸びて各枝に葉が4〜5枚ついた頃に、勢いがある枝3本を選び、残りの枝をつけ根から切りましょう。
|冬剪定|2月中旬〜3月上旬
残した3本の枝を2〜3節残して切り戻します。
|2年目以降の芽かき|5月中旬
各枝に4〜5枚の葉が付いたら、勢いのある新梢2本を残して、残りの枝はつけ根からカットします。
|初収穫|9月〜10月
植え付けから2〜3年で、いよいよ初収穫です!秋果は葉のつけ根に結実します。
|栽培ポイント(基本管理)|
強風を避け、日当たりの良い屋外。(寒冷地では冬場は室内へ移動)。
鉢土の表面が乾いたらたっぷりと。葉の水分蒸散量が多いため、夏の乾燥時には、水切れに注意。
樹勢が強いので、肥料は忘れずに!2月に寒肥、6月に追肥、10月にお礼肥。年に3回与えましょう。
|栽培ポイント(注意点)|
枝を切ると、切り口から白い樹液が流れ出ます。この樹液でかぶれることがあるので、作業時はゴム手袋を着けた方が安心です。
花ごころINFORMATION
果樹柑橘の土
木炭の配合により、排水性を高め、根張りを良くします。どっしり配合で、樹木をしっかり支えます。
果樹花木の肥料
油かす・米ぬかなどを多く含む有機肥料です。リン酸成分が多く、花付き・実付きがよくなります。
編集後記
この企画を進めるにあたって、果樹栽培はハードが高い、と思っている人は、一体何に難しさを感じているのかを想像してみました。剪定や病害虫の不安もあるかもしれませんが、初心者にとっては、栽培のサイクルが少しわかりにくいことも要因の一つだと考えました。そこで今回は、植え付けから初収穫までの行程を示した長いカレンダーを掲載。全体の流れと、必要な作業がシンプルに見えるようにしました。また、紹介するのは、比較的短期間で収穫できる鉢栽培。「果樹は難しそうだし収穫までの時間がかかる」とためらっている方もぜひ、果樹苗売り場で最初の1鉢を探してみてはいかがですか?(菅原)