見逃さないで!グリーンのSOS
お馴染みのものから最近話題のものまで、それぞれの観葉植物にありがちなトラ ブルと、解決方法をご紹介します。
入手時は高さ30cmぐらいだったモンステラ。
生長するにつれ、茎がどんどん垂れ下がりカッコ悪い。
サトイモ科のモンステラは、つる性なので茎が垂れ下がるのは自然なんです。そのままの大きさをキープしたいなら、切り戻しをすれば新しい芽が出てきます。 また、モンステラは幹から気根という根がたくさん出てきますが、これを ヘゴ と呼ばれる植物性の支柱に這わせて垂直に仕立てることもできます。実際、1m以上ある大型のモンステラは、このヘゴ仕立てで市販されていることが多いです よね。他にも、つる性で生長の早いモンステラの特徴を生かして、様々な仕立て方を楽しむのもオススメです。例えば、ヒメモンステラの茎を自然に伸ばしてポ トスのように吊り鉢で育てるのもユニーク。また、「根上がり」と呼ばれる人気の仕立て方もあります。太い幹から出るたくさんの気根は、そのまま伸ばすとい ずれ土に潜り込み、幹を支えるようになります。ヘゴや支柱なしで大型に育てられるうえに、見た目もエキゾチック!ちょっとテクニックは必要ですが、一度試 してみるのもイイかもしれません。
▲ 大型の‘デリシオーサ’の根上がりは、
超エキゾチック!
▲吊り鉢仕立てには、‘ヒメモンステラ’
や‘マドカズラ’がオススメ
購入したばかりなのに、
ベンジャミンの葉がパラパラと落ちてしまう。
日照や温度不足が原因かも。購入前はお店の温室などで十分に光を浴びていた株が、室内に移され光が不足して葉を落とすことがよくあります。ベンジャミンは 日照や温度、湿度など、環境の変化に弱いグリーンなので、落葉は生理現象とも言えます。できるだけ明るい室内に置いて水やりなどきちんと行えば、すぐにあ なたの家の環境に馴染んで、落葉もストップするハズです。また、冬場、十分に光を当てているのに落葉してしまった、という場合は、乾燥が原因かもしれませ ん。冬場は水やりを控えめにしますが、暖房の効いた室内では湿度が不足していることも。そんな場合は、霧吹きで葉っぱ全体に水を吹きかけると効果的です よ。
アンスリウムの大きな赤い花に惹かれて購入して2年目。 最近はなかなか花が咲かない。
赤やピンク、白など、光沢のある花が魅力のアンスリウム。実はこの花、正確には「苞(ほう)」というガクが色づいたもので、本当の花は苞に囲まれた棒のよ うな部分です。カラーやスパティフィラムの花も「苞」にあたります。さて、花が咲かないという悩みですが…アンスリウムは次々と葉が増えないと花が咲きに くい性質です。葉が増えない原因は、根詰まりや肥料不足などが考えられます。もしも購入してから一度も植え替えしていなければ、根詰まりや根腐れの可能性 が高いので、6月~8月に植え替えをしましょう。アンスリウムの根は太く、茎の途中から次々と根(気根)が出ることからもわかるように、根はたくさんの空 気が必要です。植え込み材には水ゴケや通気性の良い用土を使い、2年に1度、場合によっては毎年植え替えてください。また、株が大きくなり過ぎると生育が 悪くなり花付きが悪くなることもあるので、大きくなった株は植え替えと同時に株分けをするのがオススメです。
アジアンタムの葉がチリチリになってしまった。水やりをしても元通りにならない…。
アジアンタムで最も多い失敗かもしれません。
葉がちぢれてしまう原因は、空気の乾燥、水切れ、強い日差しによる葉焼けなどが考えられます。
繊細な葉が魅力のアジアンタムですが、葉がとても薄い分、乾燥には弱い性質です。
空気が乾燥しやすい冬場や冷暖房の効いた部屋では、こまめに葉水を与えて空中湿度を保つことが大切です(人間と同じように加湿器も有効です)。
一旦、チリチリになってしまった葉は、いくら水やりをしても残念ながら回復しませんが、株全体が枯れたわけではありません。
早く対処すれば再生可能です。まず、思い切って株元から2~3cmのところで地上部を切り詰めます。
水やり後、湿度を保つためにビニール袋に入れて日陰に置きます。
1カ月ぐらいして新芽が伸びてきたら袋から出し、1日2~3回霧吹きで葉水を与えて湿度を保つようにすれば、数カ月で葉が茂って復活します。
ようやく入手した「パンの木」 ですが、大きな葉っぱが 黄ばんで落ちてしまう。
切れ込みの入った大きな葉とユニークなネーミングで、最近注目されているパンの木。
ポリネシア原産のクワ科の常緑高木で、その大きな葉っぱはハワイアンキルトのモチーフとしても人気です。
日本の環境では果実を付けるのは難しいようですが、パンの木という名前は、果実を焼くとパンのような香りがすることから付けられました。
さて、葉っぱが黄ばんで落ちてしまう原因ですが、乾燥が原因かもしれません。パンの木は熱帯地方出身なので、寒さと乾燥に弱い性質です。
年間を通して鉢土が乾いたらたっぷりと水やりをしますが、冬場は10℃以上の室内で管理し、エアコンなどの風に当てないようにします。
水の吸収が遅い冬場ですが、葉が大きい分、水分の蒸散も多いので、乾燥防止のために葉水をこまめに行いましょう。
濡れタオルで葉のホコリを拭き取るのも乾燥防止に役立ちます。
できるだけ光に当てたいので、気温が20℃以上になったら、屋外で管理してもOK。
その際には、葉が黄ばんだり、姿が乱れた株は切り戻しを行うと良いでしょう。
但し、いきなり室内から屋外の直射日光に当てると葉焼けの心配もあるので、最初は半日陰、次に日なたというように、徐々に環境に慣らしていくようにしましょう。
昼間なのに、 エバーフレッシュの葉が 閉じたままになっている。
繊細なライトグリーンの葉とスラリとした樹形で、最近大人気のエバーフレッシュは、ネムの木の仲間で、別名はアカサヤネムノキ。
ネムの木と同じように、日中は葉を広げ、夜暗くなるとまるで眠るかのように葉を閉じます。
これは夜間葉っぱから水が蒸散するのを防ぐための自己防衛策なんです。だから、たとえ昼間であっても、水が不足してくると葉っぱを閉じてしまいます。
昼間なのに葉っぱが閉じていたら「水不足」と考えてください。エバーフレッシュは他のグリーンに比べ水を好む性質。
乾燥し過ぎると落葉の原因にもなるので要注意!春から秋にかけては、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをし、たまに霧吹きで葉水をします。
休眠期に入る冬は、土の表面が乾いて数日たってから水やりをするようにしますが、乾燥の激しい暖房の効いた部屋では、まめに葉水をするようにしてください。
パキラの茎がどんどん伸びて いるけれど、先端にしか葉が 付いていないので、何だか 寂しい姿に。
パキラは生長が早いので、最初はバランスの良い樹形でも、すぐに姿が乱れてきます。
長く伸び過ぎた場合は、5月から梅雨入りまでの生長期に、思い切って半 分ぐらいに樹高を切り詰めてしまってはどうでしょうか。
まったく葉のない状態になっても大丈夫!幹を切断した断面が緑色なら生きている証拠。
1カ月もすれ ば次々に新芽が出て、こんもりとした樹形になっていきます。
他に、ディジゴセカ、インドゴムノキ、ガジュマルなども樹高を切り詰めて、茎葉を茂らせること ができます。
グリーンネックレスの玉が、 入手時よりだんだん 小さくなってきた。
つる性の細い茎に、グリーンピースのような丸い玉を連ねた姿がユニークなグリーンネックレス(緑の鈴)。
この緑の玉は、水を蓄えるために葉が多肉化したも の。
多肉植物の仲間なので過湿に弱く、水をやり過ぎると根腐れを起こして茎が切れたり腐ったりすることも。
水やりは土の表面が十分に乾いてから行い、冬場 はさらに乾燥気味にします。
グリーンネックレスは、栽培条件によって葉(玉)の大きさが変わることが多いので、株が元気ならばそれほど問題ありません。
で も、元気がなくなって、葉が小さくなったり、色つやが悪くなった場合は、日照条件が原因かもしれません。
グリーンネックレスは本来日当りを好みますが、強 い日差しというよりやさしい日差しを好みます。
光が弱過ぎると玉が小さくなり、徒長して玉が落ちてしまうこともあります。
逆に、夏の直射日光では玉が赤味 を帯びて枯れてしまいます。
基本的には、秋から春まではガラス越しの明るい室内など、夏場は半日陰に置いて管理しましょう。
12月になったら突然、 サンセベリアの株元が 茶色くなって倒れた。
葉が厚く多肉質な葉を持つサンセベリアは、乾燥には強いですが、冬の寒さと過湿が苦手です。
気温が10℃以下になってから水を与えると、葉の元の方が腐 り、株を枯らしてしまいます。
急に気温が下がると、一夜にして枯れてしまうほどです。
冬越しさせるためには、11月に入ったら水やりをストップし、冬は全 く与えないようにします。
また、水やりをやめても地面の上など湿気の多い場所に鉢を置いておくと、鉢底から水を吸い上げてしまうことがあるので、置き場所 にも要注意。
茶色くなってしまった株を復活させるのは難しいですが、もし腐っていない葉が残っていれば、イラストの要領で、葉ざしで再生できます。
但し、 斑入りの品種は葉ざしすると斑がなくなります。