少し前になりますが、植木屋さんの圃場の近くにカタクリの群生地があったのでちょいと覗きに行ってきました。
以前豊田市にある香嵐渓のカタクリの話を少ししましたが、ここも自生ではなく地元の有志による植栽により管理されているようです。
それにしても林床によく日が当たり、カタクリものびのびとして地面にびっしりと咲き誇っています。
夏には地上部が無くなるカタクリ。
その頃には森の木にも葉が付き林床にも影が落ちてくるので、夏の頃には地上部が無くなるカタクリって案外と理にかなった生態をしているなと気付きます。
しかし、ここまできれいに管理されている森を見ているのも気持ちの良いものです。
典型的な「里山」の風景です。
しかしその反面、この時期に日が当たらないとカタクリはこんなには繁殖しないので、里山の管理と言うのも健全な森を維持していくには重要な事という訳です。
何を問題とするか、目的や考え方によって見方は変わりますが、里山も放ってしまえばやがて下草が繁茂し常緑広葉樹林への変遷が始まります。
こうなってくると林床へ日光が当たらなくなり、カタクリのような明るい林床を好む植物が徐々に絶えてきます。(他にはシュンラン、ササユリ、ツツジ等々…)
まぁ、そんなこんなで人の利用が減っていきの環境圧からカタクリが減少して行った訳ですが、最近ちょっと面白い話を聞きまして…
カタクリの環境圧への脆弱さは、その種子の飛散する距離にもよる・・・と言う話です。
ご存じのとおりカタクリは種から芽が出て花が咲くまでに5年~7年は掛ると言われています。
その中でカタクリの種の飛散する距離は半径5m程度との事です。
これを単純に計算すると、花が咲いて種が出来、その種がまた分散して、と言ったように毎年繰り返したとしても、花を付けるまでの期間が長いのでカタクリの生息範囲は1年に1m程度(場合によってはそれ以下)しか拡げられない・・・
と言う計算になるのです。
ちなみにタンポポの種の飛散距離は半径100m程との事で、花が咲くまでに2年掛るとしても、その生息範囲は1年に50mは拡げられる・・・
と言う訳です。
しかも、そこまでの飛散能力を持っていれば、生育環境の多様性にも恵まれると言う事にもなります。
一年にせいぜいい1m程度と言うのは、ちょっとした環境の変化に親株ごと影響を受けてしまう可能性が大と言う訳ですね。
ましてや夏には地上部はなくなるという生態なら尚更でしょう。
こう考えると植物の繁殖力の差は、種の拡散距離にも大きく左右されるのだと言う事がよくわかります。
植物は様々な方法を駆使し、如何に遠くに種を飛ばすかで様々な進化を遂げて行った訳ですが、その理由がこの話を聞いてストンと腹に落ちました。
とは言え、この事をお庭造り、土づくりにに如何活かして行けるのか…
全く繋がって行かないのですが・・・笑
まぁ、そのうち森の土の話に繋げて行けれたらな
と思っています。
GDスタッフ:Y
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