牛ふん堆肥の使い方
そろそろ秋の園芸シーズンがやってきます。楽しいガーデン計画が一杯のこれからの季節ですが、その前にまず、基本の土を見直してみませんか?今回は、植物が喜ぶ栄養たっぷりのふっかふかの土をつくる方法、そしてそのための強い味方「牛ふん堆肥」の使い方をご紹介します。
混ぜるだけで、理想の土へ「牛ふん堆肥」
土壌改良効果があり、土づくりには欠かせない堆肥には、バークチップなど木質系の原料を使った堆肥と、家畜の排泄物で作られた堆肥などがあります。中でも、様々な種類があり、植物や用途によって使い分けられる牛ふん堆肥は、良い土づくりにオススメの堆肥です。
牛ふん堆肥には、1グラムの中に数億個もの目に見えない有効微生物が存在していて、植物が吸収しやすいように有機物を分解してくれるのはもちろん、土の 団粒化を進め“ふっかふかの土”にします。ふっかふかの土とは、保水性や肥料もちが良く、新鮮な空気や水が通りやすく、根が空気や水分、養分を吸収しやす い状態の土。これは「弾力のある土」ともよく言われ、急激な温度変化を和らげ、過剰な肥料をいったん吸収してくれるので、根は快適に過ごせます。また、酸 性に傾きがちな古い土に混ぜれば、多くの植物が好む弱酸性に戻してくれます。
さらに、牛ふん堆肥は木質系の堆肥に比べると栄養面も豊富で、たくさんの微量要素も含んでいます。もちろん肥料ほど成分量は多くありませんが、化成肥料 などではなかなか補えない微量要素をしっかりサポートしてくれます。特に、牛ふん堆肥に含まれるアンモニア成分は、みなさんが大好きなバラが好んで吸収し ます。
牛ふん堆肥は「完熟」かどうかを見極めて!
牛ふんが使われている商品には、「乾燥牛ふん」と「牛ふん堆肥」の2種類あります。乾燥牛ふんは発酵処理をしていないので、土と混ぜた後に発酵分解する過 程で、微生物が土の中の窒素を奪ってしまいます。見た目は茶色でサラサラですが、臭いが多少残ってしまうのも気になるところです。
一方、牛ふん堆肥は、通常3~6か月の間、何度も切り替えしを行って空気を入れることで発酵が進み、黒いサラサラした牛ふん堆肥になります。発酵中は 80℃の熱を持つので、病原菌は減少し、雑草の種子も死滅します。黒く完熟した牛ふん堆肥は、イヤな臭いもしません。ただ、中には、発酵を短縮したり品質 管理が不徹底で、未熟な牛ふん堆肥もあります。未熟な堆肥を土に混ぜると、窒素や酸素が奪われ、植物が弱ってしまいます。土の量が限られたコンテナ栽培で は、植物が枯死してしまう危険も…。未熟な堆肥は、臭いが強くベタベタしていて、色ムラがあったりします。選ぶ時には十分に注意しましょう。