今回は、よい土の条件の一つ「腐植(ふしょく)」のお話です。植物が腐ると書きますが、決して植物を腐らせるわけではありません。「腐植」は、植物の葉や実、動物の死骸や排泄物に含まれる有機物が、長い年月をかけて、土の中の微生物によって分解・醗酵されることで作られます。「腐植」を含んだ土は、植物が健全に生長するための、最高の環境を作り出してくれるんです。
「腐植」を多く含む土は、黒っぽくなります。真っ黒な森の土などは、20%を超えていることもあります。森の草木が元気に育っているのは、この「腐植」が大きな役割を担っているとも言えます。
では、なぜ「腐植」を多く含む土が良い土になるのかと言いますと、一番の理由は、だんご作りが得意だからです。「団粒構造」と言って、細かい土の粒同士がくっついてだんご状になった土は、植物にとってよい土と言えます。なぜなら、団子と団子の間の隙間を空気や水が通ることが出来るからです。古い土は、この「団粒構造」が崩れて隙間がなくなり、空気や水が通りにくくなるので、根が窒息して根腐れなどの原因になってしまいます。
「腐植」はいろんなものを掴むのが得意なんです。例えば、 たいていの植物は、弱酸性の土を好みますが、植物を育てていると、土は次第に酸性に傾いていきます。また、肥料に含まれる酸やアルカリ物質によっても、酸性化が進みます。
「腐食」は、その原因となる水素イオンを掴んで離さないので、土が酸性に傾くのを抑え、植物のストレスを和らげてくれます。
他にも、肥料成分も掴んでおいてくれるので、土の肥料もちが良くなります。与えすぎた場合でも、いったん「腐植」が掴みとってくれることで、肥料やけを起こしにくくなります。それに、ミネラルなどの栄養分の吸収を助ける働きもあるので、植物が健康に育つこと間違いなしですよ。土だけでなく、「腐植入り」とかかれた肥料「花ちゃん肥料」も登場していますから、これから、土や肥料を選ぶ時、「腐植」の文字にも注目してみて下さい。
来週は、初夏の庭を明るく彩る「アスチルベ」をご紹介します。お楽しみに。