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大自然が生んだアート「オージープランツが、カッコいい!」
2023.04.14

オージープランツの栽培で意識したいのは、できるだけ故郷オーストラリアの環境に近づけてあげること。地植えでも育てられる植物も多いけれど、適した環境を整えやすいのは、やっぱり鉢植え。ここでは、グレビレアやバンクシアをはじめ、オージープランツの多くに共通する鉢栽培の基本をお伝えします。


植え付け・置き場所

 水はけが良く、弱酸性の土に植え付けましょう。十分な日射量が必要な植物がほとんどなので、一日中日が当たるような屋外で育てます。また、カラッと乾燥した暑さには強い反面、日本の高温多湿には弱いので、蒸れを防ぐために風通しの良い場所を選ぶことも大切。



水やり

 水はけの良い土を好み、多湿を嫌う性質ですが、一度水切れを起こすと、たちまち枯れてしまうこともあるので要注意!鉢植えの場合は、水はけの良い土を使用していることも考慮し、定期的に水やりを行います。他の植物同様、鉢土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るくらいたっぷり与えましょう。乾燥に強い印象のオージープランツですが、グレビレアは意外に乾燥に弱いなど、種類によって性質が異なるので、事前に調べておくと安心です。

肥 料

 もともと痩せた土地で育つオージープランツは、あまり肥料を必要としません。一般的な花木や草花のように肥料を与えると、かえって根を傷めてしまいます。鉢植えの場合、春と秋の成長期に少なめに与えるだけで十分です(地植えの場合は不要)。ちなみに、ヤマモガシ科に属するバンクシアやグレビレアなどは、細かい毛が密に生えた特殊な構造の根「クラスター根」を持っています。クラスター根は、痩せた土地の中に存在するわずかなリン酸を効率良く吸収するために発達したもの。そのため、リン酸成分を含む肥料を与えると、かえって肥料やけで根を傷めてしまいます。オージープランツには、リン酸成分をできるだけ抑えた肥料を選ぶようにしましょう。


植え替え

 2〜3年に1度ぐらいのペースで、定期的に植え替えましょう。生長が早く根張りが良いので、根詰まりする前に植え替えます。適期は春の3月~5月。鉢から抜き取り、竹べらや木の棒などを使い、根鉢が崩れる程度に根をほぐします。ひと回り大きな鉢を用意し、鉢底石を5㎝程度、やや厚めに敷き、新しい用土を入れ、根を広げるように植え付けます(根に付いている土は、できるだけ残す)。植え付け後、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水を与え、2週間程度明るい日陰で根の回復を図ります。


剪 定

 オージープランツの樹木は、定期的な剪定が不可欠。剪定の目的の一つは、サイズをコンパクトに保つため。特にユーカリやアカシアは生長が早いので、樹高をコントロールしないと、伸びすぎて風で倒れてしまうことも。また、枝数を増やし、花付きも良くするためにも大切な作業です。剪定の時期は、花が咲く木の場合は、花が咲き終わった後。花がらを摘み取ったり、花を付けなくなった枝や伸びすぎた枝を剪定します。

夏越し&冬越し

 乾燥した地域で育つオージープランツは、高温多湿の日本の夏は苦手です。太陽を好む性質ですが、真夏は風通しの良い半日陰に移動しましょう。また、蒸れを防ぐため、水やりは早朝か、夕方に行うようにします。
 逆に、冬越しはというと…、意外に耐寒性がある種類が多く、日本の冬の寒さには耐えることができます。但し、氷点下が続く寒い地域だったり、霜や雪に当たると傷むこともあるので、冬は室内に取り込むのが安全です。

『山火事で子孫繁栄?!』

 年間を通して乾燥した地域が多いオーストラリアでは、頻繁に山火事が起こります(2019年に起きた大規模火災は記憶に新しい)。近隣住民や野生動物に甚大な被害を及ぼす山火事ですが、植物の中には山火事によって子孫繁栄を図るものもあります。例えば、バンクシアの種子は山火事の高熱によって、ようやく硬い殻がはじけ、中の種が飛び散り発芽します。他に、ユーカリ、カリステモンなども、山火事を経て発芽にこぎつけるのです。そんな性質から、オージープランツの種まきは、種を熱湯に浸したり、燃やすなど、山火事の状態を人為的に作って発芽を誘導します。まさに大自然の不思議、植物の生き残り戦略なのかもしれませんね。

編集後記

花ごころがある名古屋市は、1980年にオーストラリアのシドニー市と姉妹都市提携を結んでいます。名古屋の「東山動植物園」と言えば、シドニー市から寄贈されたコアラが人気ですが、実はコアラが食べるユーカリをはじめ、数種類の「オージープランツ」も贈られているそうです。本誌でご紹介した「カリステモン」もそのひとつ。今回はちょっと珍しい植物達をご紹介することになったわけですが、名古屋人としては、オージープランツって結構昔からご縁があったのかも?と感じています。(菅原)



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